家族信託シンポジウムIN福岡

福岡相続マインズ様の家族信託シンポジウムに参加させていただきました。

第一部は公証人の野島香苗先生に講演を拝聴しました。

家族信託契約を公正証書で作成する場合には、公証役場で公証人立ち合いのもと

作成する必要があります。

公証役場に持ち込まれる信託契約書の案件も年々と増えているそうです。

ただ、公証役場によっては信託契約書を作成してくれないところも

多いいようです。

これは公証人が勉強をしていないことによる問題と持ち込まれる信託契約書について

一部、質が良くないものがあることが原因でしょう。

公正証書で信託契約書を作成する場合には次のステップにより作成していくことになります。

(1)相談段階

 この時は専門家が事前に相談するのですが、下記事項についてチェックを行っているそうです。

 ①信託を設定すべき事情の把握→なんのために信託を利用するのか

 ②脱法信託、詐欺信託の恐れはないか?

 ③持ち込まれた信託契約条項案の検討

  ・信託目的が信託を設定すべき状況に即しているかまたは明確か。

  ・受託者、信託関係人の選定は適切か。

  ・信託目的に照らし、信託財産の選択は適正か。

  ・信託目的に照らし、信託財産の管理、活用方法は適正か。

 ④公正証書条項案の提示

 

(2)公正証書原本作成当日

  ① 信託当事者の本人確認

  ② 当事者(特に委託者)の意思及び意思能力の確認

  ③ 信託の法的構造自体についての当事者の理解度の確認

  ④ 委託者と受託者の信頼関係に、疑義は認められないか。

  ⑤ 受託者の適性の確認

  ⑥ 信託契約内容について理解し、納得しているか。

   以上の流れになるが、公証人が職務上関与できるのは信託設定行為の時のみになり、

   公正証書の信託契約だから大丈夫というわけではなく、あくまで信託設定時の

   第一関門となるべきところであるということのお話をされていました。

 

 第2部 家族信託パネルディスカッションには私も登壇させていただき、税理士という立場での

    家族信託についての取り組みをお話しさせていただきました。

 

   私が家族信託にかかわるようになったのは、平成26年ごろにハウスメーカー主催で家族信託についての

   セミナーをするので、講師をしてほしいということで頼まれたのがきっかけでした。

   家族信託について、名前は知っていましたが、内容については知らなかったので、セミナー開催のための

   資料作りとして勉強をスタートしました。開業当時から不動産オーナーの方に特化した税理士事務所を

   目指していたので、相続対策、特に分割対策については力を入れていきたいと考えており、遺言書よりも

   柔軟な対応ができる家族信託について、活用するケースが今後増えると思っていました。

   最初に家族信託を取り組んだ案件は事務所のお客様でした。

   家督相続型の財産継承を望まれるお父様と違う考えを持つお母様の相続対策を行う中で、遺言書では

   決められない、第一相続の次の相続について、お父様の意思を尊重した承継をできるようにするために

   家族信託の提案を行いました。

   最初は必要ないと考えられていたお客様も、説明を重ね、疑問点についてお答えする中で、家族信託が

   必要であると認識していただけました。

   家族信託は税理士だけではとても対応できないスキームであるため、以前より一緒に勉強会を開催していた

   弁護士の先生と司法書士の先生と一緒に、家族信託の設計をスタートしました。

   最初の提案から約1年に近くの歳月をかけて契約書が作成できました。

   税理士が家族の財産評価、分割シミュレーションを行い、弁護士が法律的に問題ない形での契約書の作成、

   司法書士が信託に関する権利関係の整理と信託登記というそれぞれの専門家が持てる力をすべて集約して

   対策を実行することができました。

   税理士などの専門家はどちらかというと過去の起こった事実を申告書を作成するという形で事後の処理を

   することを本業としています。積極的な未来に対する提案ができていないのが現状です。

   税理士は確定申告時には必ず不動産オーナー様に面会します。

   面会時に昨年よりも少し変わった状況があれば、ご家族に家族信託の説明を

   行い、しなかった場合のリスクとすることによる費用のお話を事前にすることができます。

   また、ほかの専門家と違い、税務上どのように分割していくことがいいのか、

   相続時に特例制度はどれを選択すればいいのかのアドバイスをすることもできます。

   ただ確定申告をするというだけでなく、家族の将来のためのアドバイスを

   こちらからできるのは税理士だけであると考えています。

   今後、家族信託が普及し、その中心にも税理士がいることを願っています。

   H30.4.23 税理士 高島聖也

 

 

 

 

 

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