信託内借入の問題点

先日、とある金融機関の方から質問を受けました。

銀行担当者:『信託内借入は受託者に対する融資ですよね』

私:『はい、そうです。ただし、責任負担債務として信託財産に紐づかれ、税務上は受益者の債務とみなされます。』

銀行担当者『だから債務控除できるということなんですね。』

私:『はい、そうです。』

銀行担当者:『では、信託が終了した場合には、銀行は誰に債務を請求すればいいのですか。』

私:『信託が終了という形になりますので、信託財産は残余財産帰属権利者のものになりますので、

   債務者を残余財産帰属権利者に変更するという形をとるようになると思います。

   もし、残余財産帰属権利者の信頼性が低く債務者変更ができかねるという場合には、

   受託者と残余財産帰属権利者の連帯債務という形になると思います。』

銀行担当者:『信託財産の評価が高いうちはいいですが、不動産も価値が流動的ですから、

      銀行としてはとりっぱぐれがない形を考えないといけないですね。』

私:『過去に私が信託内借入の案件をやった時の金融機関は受益者の推定相続人全員に連帯保証人を求めるという

   形をとっていました。今後、信託内借入についてどのような問題点が出てくるかは不明ですから

   やはり念には念をという形をとるしかないでしょうね。

   セミナー等で言われているほどハードルは低くないようです。』

銀行担当者『受託者が責任を果たしてくれない場合には、銀行としても損害請求等をする場合があるかもしれないですね。』

 

 守秘義務には触れない程度で一般的な会話をご案内させていただきましたが、

 超高齢化社会とあり、信託契約案件が急増しています。

 成年後見人制度は、資産家の場合には『弁護士等の専門家』が財産の管理を行います。

 法律知識のある方が財産管理をして問題が多く存在する現状です。

 家族信託は財産管理を子供などの親族が受託者として行います。

 一般の方ですから法律知識がありません。

 なんとなく管理をしていた。なんとなく使っていた。

 書類の保存等はしていなかったとなった場合に、

 相続時には家族でもめる案件が増えるのだと思います。

 また、税務調査においても『みなし贈与』としての認定を受ける案件が

 増えるのでしょう。

 セミナー等でお話しするのですが、家族信託はスタート以上に

 終わらせ方が大事です。

 そして信託期間中の管理もしっかりと行っていく必要があります。

 私も先日組成させていただいたお客様から

 追加信託のご相談を受けました。

 その方は法律知識を持っている方でしたので、文例をお送りし、

 対応することができました。

 家族信託は信託スタート後のフォローがとても大事だと

 実務をしながら思う次第です。

 

 H30.7.28 税理士 髙島聖也

 

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