不動産活用と孫養子を活用した相続税対策

税理士の髙島です。

今回は、不動産を活用時の相続税評価の圧縮効果と養子縁組を活用した

相続対策について。ご紹介したいと思います。

結論を先にお伝えしておくと、建築直後の借入金が多いときに

次の孫の世代に不動産を相続させることが出来れば

かなり効果があるということです。

 

事例としては、孫を養子縁組し、子供を飛ばして次の世代に相続させたとします。

相続財産は簡単にするために更地の土地3億円のみとします。

法定相続人は子供と孫の二人とします。

ケース1更地3億円を子供が相続した場合

 更地3億円に対する相続税額は6,920万円子供が全部、取得する場合には

 6,920万円が相続税額となります。

ケース2 更地3億円を孫が相続した場合

 遺言書等により孫が取得する場合には、相続税の2割加算の適用になってしまうため、

 6,920万円×1.2倍=8,304万円が相続税額となります。

ケース3 更地3億円の土地の上に借入5億円で5億円の賃貸マンションを建設して

    土地建物を子供が相続した場合

 もし借入金により5億円の資金調達を行い、5億円のマンションを建設したとします。

 この場合の建物の評価は固定資産税評価となり、さらに賃貸に出している場合には30%の借家権を控除する

 ことが出来ます。

 ■建物の相続税評価

 建物の固定資産税評価 5億円×60%=約3億円

 建物の相続税評価 3億円×(1-30%)=2.1億円

 ■土地の相続税評価

 土地についても更地評価から貸家建付地の評価になることにより、借地権及び借家権等を控除することが出来ます。

 福岡の場合には借地権割合が40%のエリアが多いことから今回は借地権割合、40%で計算しています。

 土地の相続税評価 3億円×(1-40%×30%)=2億6400万円

 ■相続税の課税価格

 財産合計 建物2.1億円+2億6400万円=4億7400万円

 債務合計 5億円

 純財産額 4億7400万円-5億円=▲2600万円

 相続税評価上は債務超過となり、相続税は発生しないことになります。

 ただ、これは建築直後に相続が発生した場合になり、借入金が減少していくにつれて相続税額が

 発生していくことになります。

ケース4 更地3億円の土地の上に借入5億円で5億円の賃貸マンションを建設した場合し、

    土地建物をが相続した場合

  こちらについてもケース3とほぼ同様の取り扱いとなります。

  そして、相続税の2割加算については、相続税額が対象となるため、相続税額自体がない場合には、

  加算もないことになるのです

 

まとめ  

  当事務所のお客様の中にも相続対策として孫を養子縁組されているケースがあります。

  この場合には、このような活用方法をご提案するようにしております。

  特に賃貸マンションのような場合には、次の相続時に建て替えるということはまずありません。

  賃貸マンション建築の相続対策は節税効果の即効性が高いという反面、次の相続時には

  借入金の返済が終わり、高い固定資産税評価の建物が残り、次の相続税は高くなるという

  副作用的な部分もあります。

  日本も昭和の終わりから平成の初めのバブル前後に相続税対策で建築されたマンションが多く存在します。

  このような方は、相続税の対策ということで建築をしたのですが、次の相続税は高くて困り、

  結局売却してしまっている若しくは資金繰りに困っています。

  『不動産を守る』という目的に相続対策を検討される方は、『今』も大切ですが、『将来』も

  含めた相続対策を行っていきます。

  一番いいのは優しくて優秀な『孫』を教育していくことかもしれませんね(笑)

           令和4年2月2日 税理士 髙島聖也

 

 

 

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