こんにちは。税理士の高島です。
今回は、「資産の値上がりが続く今、不動産は個人で持ち続けるべきか?法人に移すべきか?」というテーマでブログを書きました。
将来の相続税が心配、土地の評価がどんどん上がっている、という方にとって、きっとお役に立てる内容です。
◆ この10年で何が起きたか?土地価格が倍増する地域も
私が拠点としている福岡市では、ここ10年ほどで不動産価格が
目に見えて上昇してきました。
地域によっては毎年1.1倍のペースで路線価が上がっており、
わずか8年で土地の評価が2倍になるケースも。
例えば、1億円の土地が1.1倍ずつ上がっていくと…
1.1 × 1.1 × 1.1 …(8回)= 約2.14倍!
つまり、評価額が2億円を超えるわけです。
土地の評価が2倍になれば、相続税も当然上がります。
ただし、相続税は「単純に2倍」ではなく、控除額や税率の関係で
3倍近くになることもあるのです。
◆ 【比較シミュレーション】AさんとBさんの違い
ここで、実際に土地をお持ちだった「Aさん」と「Bさん」のシミュレーションをご紹介します。金額は分かりやすく簡略化していますが、考え方は現実そのままです。
▽ 共通条件
土地評価:2億5000万円
家賃収入:年間1000万円
年間生活費:1000万円
相続人:2人(子供)
- 現状の相続税は約5,000万円
▼ Aさん:早めに法人に売却して対策
① 土地を法人に売却
→ 売却価格:3億1,250万円(2億5,000÷0.8)
→ 譲渡所得税(20%):6,250万円
→ 残額:2億5,000万円が個人の手元に残る
② 法人は銀行融資で土地を購入
→ 家賃収入でローンを返済していく
③ Aさんは残った2億5,000万円で生活
→ 年間1,000万円ずつ使えば25年でちょうどゼロに
④ 結果
Aさんの個人資産は減少 → 相続税は最小限
土地の値上がり益は法人の資産に → 子供が出資して相続税の対象外
株式はあらかじめ子どもへ → 次世代へスムーズに承継
▼ Bさん:何もせず保有を続けた場合
① 土地を持ち続ける(値上がり続ける)
→ 数年で評価5億円に!
② 家賃収入はすべて生活費に使用
→ 貯蓄はゼロ
③ 相続時の土地評価5億円に対し
→ 相続税:約1.5億円!!
④ 結果
現金が残らず納税資金が足りない可能性
資産はあるのに手元に現金がない「資産貧乏」に
相続税支払いのために不動産売却も検討せざるを得ない…
◆ 未来は「選べる」――でも、準備が必要です
同じ2.5億円の土地を持っていたAさんとBさん。
たった一つ、「法人化」という選択をしたかどうかで、
これほどの違いが生まれるのです。
もちろん、すべての方に法人化が適しているわけではありません。
ただ、「検討せずに放っておく」のが最もリスクが大きいのです。
◆ 法人化=ただ会社を作ること、ではない
法人を活用する際に大切なのは、「どう作るか」ではなく
「どう使うか」です。
例えば、
土地と建物をセットで法人に移す
銀行融資を活用して返済負担を法人で管理
株式の所有をあらかじめ次世代に
など、戦略的な設計が重要です。
また、不動産鑑定の手法(更地 vs 収益還元)によっても評価が
変わるため、外部の専門家との連携も大切になります。
会社活用を含めたご相談は当事務所は得意分野ですから、
お困りの際はご相談ください。
私もこれからの10年を関与先支援を中心に最先端の
仕組づくりを研究しながら支援していきたいと思います。
令和7年7月10日 税理士 高島聖也