福岡市の路線価は、今後どこまで上昇するのか
今後の相続対策を考えるうえで、非常に重要となるのが土地価格の動向です。
特に福岡市は、人口増加が続いていることから、地価および路線価が上昇傾向にあります。
将来の相続税対策において、この土地価格が「どこまで上昇するのか」によって、
取るべきアクションプランも大きく変わってきます。
実際に、当事務所のお客様の中にも、相続時精算課税制度を活用して先行して贈与を行ったり、
土地を含めた資産を法人化するなど、積極的な対策を実践されている方がいらっしゃいます。
このようなダイナミックな対策を講じるうえでは、「土地の価格がどこまで上昇するか」を
慎重に見極める必要があります。
私の感覚では、福岡市の土地価格は、少なくとも年5%、
地域によっては年15%近く上昇しているケースもあります。
1年だけの上昇であればそれほど大きな影響はありませんが、
仮に毎年10%ずつ上昇し続けた場合、その影響は非常に大きなものとなります。
もちろん、地価が永遠に上昇し続けるとは考えていません。
市場の実勢としては、すでにピークに近づいているという印象もあります。
ただし、「地価がピークにあること」と「路線価が今後上昇しないこと」は、
必ずしもイコールではありません。
たとえば、ある地域で不動産の実勢価格が坪100万円で取引されているとします。
この場合、1坪は約3.3平米ですので、平米換算では約30万円となります。
相続税の路線価は、実勢価格のおおよそ80%が基準とされるため、
平米あたり24万円が想定される路線価となります。
しかし実際には、まだ平米15万円程度の路線価が付されているケースも見られます。
これは、実勢価格と路線価の間に約9万円の乖離があることを意味します。
したがって、今後もこの路線価が実勢に追いつく形で、
平米24万円近くまで上昇する余地があると仮説を立てることが可能です。
仮に、路線価が毎年10%ずつ上昇していくと仮定すれば、
あと5年ほどは上昇が続く可能性もあると考えられます。
このように、「相続税評価額である路線価がどこまで上昇するのか」という点に仮説を持ち、
計画的に対策を実行していくことが重要です。
福岡市に関しては、私の個人的な見解ですが、土地価格が急激に下落するという事態は、
よほどの外的要因がない限り考えにくいと感じています。
このブログをご覧の皆さまにも、ぜひご自身の保有されている土地が
「今後いくらまで上昇する可能性があるのか」、
また「その評価方法がどうなっているのか」を冷静に分析し、
将来予測の材料として、相続対策の主軸に据えていただければと思います。
令和7年11月14日 税理士 髙島聖也



