新型コロナウィルスが不動産経営者に与える影響②

税理士の高島です。

緊急事態宣言の5月31日までの延長が正式決定しましたね。

4月末に国会を通った持続化給付金(法人は200万、個人は100万円)や

定額給付金(一人10万円)ですら、まだ事業者の手元に届いて

いない状況での延長の決定は、事業をされる方にとってみれば

かなり厳しい状況だと思います。

私の関与先でも、飲食店やダンススタジオなど、直接影響を受けている

所もあれば、自粛要請の対象となっている不動産を賃貸しており、

テナントから減額の相談を受け、減額をしているところもあります。

正直、ここまで影響が来るとは、3月のころは思っていなかったのですが、

長期戦になることを考えていかなければならないと思います。

そして、今回のコロナショックを受けて不動産業をされている

方に与える長期的な影響として次の3点があげられます。

 

①都心部の魅力の半減

 これから緊急事態宣言の出口を迎え、日常生活に戻ったとしても

 以前のようになるわけではありません。

 テレワークや時差出勤などの対策を講じていく場合には、

 当然に都心にオフィスを構えていることのメリットが減ってくると思います。

 また、そこに多額の家賃を支払って、飲食店などの店舗を構えることのメリットも

 減ってくるでしょう。

 5月末の第二次補正予算案に家賃の助成制度や固定資産税の減免措置が 

 織り込まれると思いますが、これによって事業系の賃貸をされている方や

 飲食店などの店舗家賃を支払われている方についての支援策がどの程度

 織り込まれるかによって、今後の動向が決まってくると思います。

 

②住環境の変化による住居オーナーに与える影響

 これについても駅近や都心部に住むということにメリットがあり、

 それによる高い家賃がとれていたところが、今回の自粛による

 生活環境の変化の影響を受けると思います。

 テレワークで週に1度の出勤であれば、少しのどかなところに住んで、

 車で通勤など、都心集中から郊外型へ移行していく可能性があります。

 あくまで可能性ですが。

 5Gによる車の自動化などが進めば、田舎でもそこまで不便でなくなるかもしれません。

 賃貸経営は立地が命、という立地に変化が出てきました。

 この変化にいち早く対応していく必要があると思います。

 

③個人より法人有利の考え方がより鮮明になった。

 今回の持続化給付金について、事業収入がある個人に限定され、

 不動産所得や雑所得が除かれるとの『よくある問い合せ』に記載されました。

 同じ賃貸経営をしていて、会社は給付があるのに、個人は給付がない。

 なぜだ!?となってしまうと思います。

 私なりに考えると、

 事業系の不動産は法人でしており、個人で不動産を経営している方は

 住居のマンション経営をしている。と考えたのではないかと思います。

 また、1室の賃貸をしていて月15万円の家賃を得ていたが、

 コロナをきっかけに退去をして収入が0になった。

 こんなケースを入れると対象者が多くなりすぎるという点もあったのではないか

 と思います。

 いずれしろ、法人=事業経営で、個人の不動産=事業ではない。

 という国のとらえ方が出たのだと思います。

 また、今後のことですが、コロナショックによる支援策は

 赤字予算によって賄われます。

 このツケは将来の税金になって、国民に重くのしかかってきます。

 この時の税金は、消費税なのか社会保険料なのかはわかりませんが、

 これまでの流れであれば、個人に対する税金(特に高所得者)

 にから徴収していこうという考え方になってくると思います。

 

 借入をして不動産を建設し、相続対策をしながら工夫をしている

 個人の方は、どうしても不動産所得が高くなってしまいます。

 このことと国が抱える問題は切り離して考える必要があるのですが、

 今の制度であればひとまとめになって、税金というコストが

 多くかかってしまいます。

 規模の大きい不動産経営をされているかたは、タイミングをみて

 法人に切り替えていくことをお勧めいたします。

 

 以上長くなりましたが、コロナウィルスが不動産経営に与える影響

 を不動産専門税理士として書きました。

 今後どのような影響が出てくるのかわかりませんが、

 情報が出次第、更新していきたいと思います。

 

   令和2年5月5日 税理士 高島 聖也

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