税理士の高島です。
令和8年度の税制改正大綱において、
貸付不動産の評価見直しが盛り込まれました。
これは、不動産オーナーにとって非常に大きな影響を
及ぼすものと考えられます。
細かな要件や経過措置はありますが、基本的には令和9年1月1日以後の
相続や贈与において、取得から5年以内の不動産については、
取得価格の80%を基準に評価される方向で進められています。
この改正が成立した場合、不動産価格にも一定の影響が出てくることが
想定されます。
税制改正調査会の資料によれば、相続直前に1棟賃貸マンションを
駆け込み取得した事例が紹介されています。
この事例では、令和元年に21億円で1棟の賃貸マンションを取得し、
令和4年5月に相続が開始。その際の相続税評価額は4.2億円
だったそうです。
この取得により、本来であれば12.3億円かかるはずだった相続税が
4.4億円に抑えられ、7.9億円もの相続税の節税効果があった
とのことです。
ここで注目していただきたいのが、この不動産の鑑定評価額です。
資料によると鑑定評価額は18.5億円とされており、築年数の経過など
を考慮しても、取得価格の21億円から2.5億円下がっていることに
なります。※下がったのか高く買ってしまったのか、、、
つまりこの方は、不動産取引において2.5億円の損をしつつも、
相続税において7.9億円の節税ができたため、実質5.4億円の得を
したという見方もできるわけです。
このように、「不動産で損をしても、相続税で得をする」といった
仕組みが、不動産市場の形成に一定の影響を与えてきた面があると
考えられます。
なお、この事例の評価圧縮率は、取得価格に対して約80%となって
おり、今回の改正が成立した場合には、取得後5年間は20%の圧縮に
とどまることになります。
当然、節税効果は大幅に減少し、「ちょっと高いなあ」と感じられる
ケースが増えるのではないでしょうか。
ここからはあくまで私見ですが、この改正により大きな影響を受ける
のは、新築や築浅で相続対策用に建築された物件だと考えています。
一方で、築古物件については、収益価格や更地としての魅力を前提に
購入されているため、今回の改正による影響はそれほど大きくない
ものと思われます。
相続対策用の新築物件には要注意!!
出口で困る可能性あり!
令和8年1月22日
税理士 高島 聖也



